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教育・子育て

新学習指導要領で何が変わるのか?親が子どもにしてあげられること

2020年度の小学校を皮切りに2021年度は中学校、2022年度から高校の学習指導要領が変更になります。

今回導入される学習指導要領では「生きる力」のその先の力を育成する「社会に開かれた教育課程」が重要視されます。

といわれても、何のことだかよくわからない!という方のために、この記事では今回の新学習指導要領で小学校、中学校、高校の教育の何が変わるのかポイントをご紹介していきます。

新学習指導要領:小学校のポイント

小学校は2020年度からすでに新学習指導要領での学習がスタートしています。

小学校のポイントは3つ

  1. アクティブ・ラーニング
  2. 英語の教科化
  3. プログラミング必修化

①アクティブ・ラーニング

アクティブ・ラーニングとは、子ども達自身が主体的に活動する学習のことです。

これまでのように座って先生の授業を聞く(受け身)の授業だけではなく、グループ学習やプレゼンテーション、ディベート(討論)の授業が増加します。

子ども達は、思考、判断、表現する力、自ら問題(課題)を発見し、解決する力が必要になってきます。

②英語の教科化

3,4年生は、英語の活動として年間35時間(週1コマ程度)の英語の授業が行われます。

この活動は、聞くこと、話すことを中心に、外国語に慣れ親しみ、英語学習の動機付けを高める目的で行われます。

5,6年生にあんると教科として年間70時間(週2コマ程度)の英語の授業が行われます。

ここから段階的に読む、書くことが加わり、教科として成績がつくようになります。

③プログラミング必修化

プログラミング必修化の目的は以下の3つです。

  1. プログラミング的思考(論理的思考力)を身につける
  2. コンピューターの社会的役割、得意不得意を理解する
  3. プログラミングを活用することで各教科の学びを深める

プログラミングは必修されますが、成績には直接影響しません。

どういうことかというと、「プログラミング」という教科ができるわけではなく、各教科の授業や教科外の時間にプログラミング的思考が身につけられるような取り組みを含んだ活動をしていく、ということになっているため、教科として成績がつくということがないのです。

(※論理的思考力とは、ゴールを設定し順序だてて考え、実行する考え方のこと)

参照:文部科学省『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説』

新学習指導要領:中学校のポイント

中学校は2021年度から新学習指導要領での学習がスタートします。

中学のポイントは2つ

  1. プログラミング教育
  2. 英語教育

①プログラミング教育

今までの学習指導要領でも「プログラミング教育」は実施されてきています。

具体的には現在「技術・家庭」の学習内容が、「A. 材料と加工の技術」「B. 生物育成の技術」「C. エネルギー変換の技術」「D. 情報に関する技術」の4つに分かれていて、そのうち「D. 情報に関する技術」の「プログラムによる計測・制御」という項目でプログラミング教育を行っています。

2021年度からの学習指導要領では、内容「D. 情報に関する技術」に「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決」が追加されることによって、学習内容が約2倍になると言われています。

今までのようなソフトウェアをどう使いこなすのか?といった受動的な学習だけではなく、ネットワークの活用やプログラミングで問題解決に取り組むというような能動的な学習が行われます。

②英語教育

中学校の英語(外国語)教育では、他国の文化への理解を深め、「聞く」「話す」「書く」「読む」といったコミュニケーション能力の基礎の養成を目指します。

今回の改訂で、授業時数が各学年で105時間から140時間に増えます。

文法事項等の学習内容はほとんど増加していません。

具体的な内容は、

  • 1年生:自分の気持ちや身の回りの出来事などの中から簡易な表現を用いたコミュニケーションの育成。
  • 2年生:事実関係を伝えたり、物事について判断したりした内容の中からのコミュニケーションの育成。
  • 3年生:第3学年:様々な考えや意見などの中からのコミュニケーションの育成。

となっています。

これらの能力を3年間で段階的に育成していきます。

参照:文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説』

新学習指導要領:高校のポイント

高校は2022年度から新学習指導要領での学習がスタートします。

高校のポイントは3つです。

  1. 主権者教育
  2. 消費者教育
  3. アクティブ・ラーニング

①主権者教育

2016年の6月22日に選挙権年齢が20歳から18歳になりました。

また2022年度からは、成年年齢も18歳になる予定です。これらを背景として、公民科に必修科目「公共」が導入されます。

前回の学習指導要領では「公民のうち『現代社会』または『倫理』『政治・経済』のいずれかが必修」となっていました。

しかし、今回の学習指導要領では「公民のうち『公共』は必修」となりました。「現代社会」が廃止され、それを「公共」が取って代わった形となっています。

「公共」での主権者教育を通して、子どもたち自らが主体となって政治を動かし、社会に参画する力を身につけることを目標としています。

学習範囲の「現代社会」と大きくは変わりませんが、学習の方法がはアクティブラーニングを活用した学習方法に変わることになっています。

具体的には、ペアワークによる対話やグループ単位での調査・発表がかなり多くなると考えられています。

②消費者教育

2022年度に実施される18歳への成年年齢の引き下げは、保護者の同意を得ずに締結した契約を取り消すことができる年齢が20歳から18歳へと変わることを意味します。

これは、自立した消費者を育成するため「公共」と「技術家庭科」の授業を通して、消費者契約の重要性、それに付随する消費者の権利行使の仕方などを学習していきます。

成年年齢が18歳へと引き下げられることで、高校3年生の時にすでに大人としての責任をもった行動・判断が求められてくることになります。

参照:文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説』

③アクティブ・ラーニング

アクティブ・ラーニングがかなり多く取り入れられることが予想されています。

これは、「何をやるか」だけではなく、「どのように学ぶか」が重視されるようになり、新学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)」の視点でのアプローチによって、子どもたちの学習方法を変えることが重要視されているからです。

「主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)」の深い学びの視点とは、どのような視点かというと、

  • 「主体的な学び」の視点
    学ぶことに興味や関心をもち、自己のキャリア形成の方向性と関連づけながら見通しをもって取り組み、自己の学習活動を振り返ってつなげる学び。
  • 「対話的な学び」の視点
    子ども同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手がかりに考えることで、考えを広げ深める学び。
  • 「深い学び」の視点
    習得・活用・探究という学びの中で、各教科の特質に応じた「見方・考え方」を形成し、問題を見いだして解決策を考えたり、創造したりする学び。

これらを総合したものが「主体的・対話的で深い学び」の視点であると文部科学省は言っています。
参照:教科等の本質的な学びを踏まえたアクティブ・ラーニングの視点からの学習・指導方法の改善のための実践研究

子どもたちがグループディスカッションやディベートなどで能動的に学習する「アクティブ・ラーニング」の視点から、「何をやるか」だけでなく、「どのように学ぶか」を重視することで、現在の教育からの変革を図ろうといるのです。

一人で能動的に学習する「自立学習」では培えなかった、社会的能力や経験、教養を身につけることが子どもたちに期待されています。

まとめ

2020年度から段階的に小・中・高と新学習指導要領での教育が始まっていきます。

どの教育課程でも注目されるポイントはアクティブ・ラーニングです。

変化が激しく、世界との関わりも多くなり、今まで人が行ってきた仕事の大半がAIやコンピューターによって代替されるようになるといわれている中、人にしかできない仕事、役割を自らの頭で考えて、他者と協力して問題を解決していく力が必要になってきます。

大人たちには、物事の捉え方、考え方などの日々の些細なことを題材に、学び続ける力を身につけ、自分で未来を切り開いていける力をもった子どもたちを育ていくことが求められています。